使用する奉書紙について

 

かみのみかでは御朱印帳のキットの蛇腹加工、芯材加工などを職人が自前制作する「製造小売」です。
ですので、加工方法やノウハウをどこよりも熟知し、研鑽しておりますし、蛇腹加工については、
外注に出す製本会社のものより仕上がりは良いと自負しております。

 

しかし「奉書紙」の品質には色々と悩まされています。寺社によっては「墨が滲む」「裏写りがする」「乾かない」

と様々なお声があるからです。朱印を書く墨の濃淡、水分量によっても、また巡礼の方の混雑具合によっても違います。

墨のテストを行って、2017年4月からの仕様として「瑞穂きなり110g/㎡」と「黎明100.5g/㎡」の2つを選定しました。

蛇腹加工の作業性とコストの兼ね合いも含めての現時点のベストの解だと考えています。

四つの奉書紙の墨テスト

 

「瑞穂きなり110g/㎡」「別抄112g/㎡」「黎明100.5g/㎡」「黎明90g/㎡」の4種をテストしました。

※「g/㎡」で表す坪量とは「1枚1平方メートルあたりの重さ」のことです。多い方が厚く、密度も高いことになります。

墨汁は普通のタイプで、これをスポイトたらしと筆書きでテストします。

最初はスポイトテストです。

スポイトで垂らした墨の状況を見てみましょう。

瑞穂きなりは「なかなか吸っていかない」感じです。これは「滲み防止剤入り」ゆえです。

別抄き110gは採用を検討して取り寄せたものです。すっと、吸収をしていきます。

黎明100.5gはじわぁーっとする感じで、同91gはもっと吸い込みが速い感じです。

それぞれ30秒以上たった時点です。

瑞穂きなりは裏写りがなかなかしません。しっかりした紙ゆえですが、逆に言えば「乾きは遅い」です。

別抄はウラにそのまま染み通ります。量は若干控えめでしょうか。

黎明100.5の方が別抄よりも裏写りはやや少ない感じでした。

黎明90はそのまま写ってしまった感がありました。

次の4枚の画像は「かみのみか」と墨書きしたところです。素人の拙筆、ご容赦ください(^^;)

瑞穂きなりは裏写りがまったくありません。別抄はかなりあります。別抄は通して滲みを抑える、というねらいが見えてきます。

一方黎明はどちらも裏写りは少ないです。普通の朱書きなら抑え込めている状況がわかります。

最後に「墨汁を薄めて文字を書く」テストをしました。次の4枚の上の文字がそれです。

瑞穂きなりは滲みなくそのままです。しかし乾きは悪いです。

文字の輪郭をじっと目を凝らしてみると、別抄が良好でした。しかし黎明100.5gと大差があるというほどでもないです。

黎明91gは薄めた墨汁では滲みが目立ちました。

薄めた墨汁でも裏写りはそれほどの違いがありませんでした。

結論として、当面かみのみかでは「瑞穂きなり110g/㎡」と「黎明100.5g/㎡」を採用します。


別抄は良好であるのですが、触った感触は110gと大差なくかえってボサボサしています。

また寸法的に職人が蛇腹加工がしにくいというデメリットがあり、抄きも特注扱いで定番ではありません。

 

瑞穂きなり110gは「乾きにくい」ので寺社によっては嫌われることもありえます。しかし合い紙を入れれば乾きますのでご安心ください。

黎明100.5gはこれまでの90gより滲みが出にくく、コストパフォーマンスも含めて現時点ではべストのチョイスだと考えます。
しかし今後、もっと良い紙が定番で入手できるのであれば、それも検討してゆきます。以上です。